ミシガン州のダウ本社

【ニューヨーク=西邨紘子】米化学大手ダウが24日発表した2024年7〜9月期の決算は、売上高が前年同期比1%増の108億7900万ドル(約1兆6500億円)、純利益は29%減の2億1400万ドルだった。北米で産業材の需要が上向いた一方、欧州や中国で需要が低迷したほか拠点保守費用などコスト増が利益を押し下げた。

特殊要因を除いた1株当たりの営業利益は0.47ドルで、市場の予想とほぼ一致した。前年同期の0.48ドルは下回った。

全体の販売量は1%増えた。北米とEMEAI(欧州・中東・アフリカ・インド)地域で販売量が上向いたが、アジア地域の落ち込みが伸びをほぼ相殺した。販売価格(現地通貨ベース)は前年比横ばいだった。

事業別の売上高は、売上高の5割を占める主要部門の「パッケージ材・特殊プラスチック」が1%増収だった。産業用シリコン材の販売が伸びた「高機能材・コーティング」は4%増だった。一方、供給問題がボトルネックとなり「産業中間財・インフラ」は2%減収となった。

ダウのジム・フィッタリング最高経営責任者(CEO)は足元の事業環境について、北米拠点の価格競争力が「事業の強みなっている」と説明した。一方で、中国と欧州では「いまだ本当に意味のある(需要の)回復が見られない」と需要低迷に危機感を示した。

特に、欧州で足元の需要低迷に加え、当局による化学品の規制強化が「幅広い事業分野とバリューチェーンで事業をより難しくしつつある」(フィッタリングCEO)と指摘。同日、欧州のポリウレタン事業を中心に拠点の見直し方針を発表した。

同社が発表した24年10〜12月通期の売上高予想は107億ドルで、前年同期の実績(106億2100万ドル)は上回る見込みとなっている。

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