楽天ラクマは1月から鑑定サービスを本格展開していた

楽天グループは17日、フリマアプリ「楽天ラクマ」で売買されたブランド品について鑑定を義務付けると発表した。ロレックスなど400以上のブランド品について、コメ兵ホールディングスの鑑定士が検品してから購入者に発送する。リユース市場の拡大をブランド品がけん引するなか、メルカリなどフリマアプリ各社で偽造品を排除する取り組みが広がってきた。

楽天ラクマでは商品の購入者がコメ兵の鑑定を無料で受けられるサービスを1月から提供してきた。これまで鑑定を依頼するかは任意で、届いた荷物をコメ兵の鑑定センターに送る手間や送料が必要だった。17日から段階的にシャネルやグッチなど指定するブランド品は基本的に全てコメ兵の鑑定センターを経由して届ける仕様に変える。

指定ブランド品を出品しようとすると、登録する商品名などから鑑定対象の商品かシステムが自動で判断する。鑑定センターで「基準外」と判断された場合、取引は破棄される。商品の配送期間は従来より数日延びる見込みだ。指定ブランド品以外は従来の「後から鑑定」も継続して使える。

鑑定センターから購入者までの配送料などは楽天側が負担する。同日、記者会見したラクマ事業部の長谷川健一朗ジェネラルマネージャーは「ファッション分野の販売を伸ばす上で課題だったのが偽造品。偽造品をいかに撲滅するかは売買のプラットフォームの責務だ」と意義を強調した。

中古品の個人間取引の市場拡大に伴い、偽造品の相談は増加傾向にある。特許庁によると2023年に相談・情報提供があったもので「違法アップロード」を除くインターネット取引の中で55%がフリマアプリなど個人間取引に関するものだった。

並行輸入業者などでつくる日本流通自主管理協会(東京・千代田)の姉川博事務局長は「消費者が偽造品にアクセスしやすい環境になっている。偽造品がここまで多い時代はない」と指摘する。「3Dプリンターの普及もあり、偽造品の精度もかなり向上している」という。

鑑定サービスは利用者の信頼につながるほか販売単価を上げる効果もあり、フリマやオークション各社がサービスを拡充している。

メルカリは3月からバッグやスニーカーなどに関して鑑定機能を導入した。出品者が鑑定サービスの利用を承諾している場合、購入者が追加手数料(1700〜4500円)を払えば利用できる。鑑定は23年に出資したIVA(東京・渋谷)が担う。

これまでは出品時に鑑定サービスを承諾する設定に変える必要があったが、15日から仕様を変え、出品の初期設定を鑑定を承諾した状態にした。偽物を販売する不正業者が出品しづらい状況にする狙いがあるとみられる。

本物と見分けがつかない偽造品も増えている(左が偽造品)

LINEヤフーの「Yahoo!オークション」も23年8月からトレーディングカードの鑑定サービスを始めた。24年4月の落札数は鑑定サービス開始当初と比べて3倍になるなど、引き合いは増えている。

専門紙のリユース経済新聞によると、23年のリユース市場規模は前年比8%増の3兆1227億円だった。そのうちブランド品は19%増の3656億円と全体の12%を占め、衣料・服飾品(5913億円)に次ぐ規模だった。トレカを含む玩具・模型も20%増の2546億円と高成長が続く。

ブランド品やトレカが市場成長をけん引するカテゴリーになるなか、冷や水を浴びせかねない偽造品を取り締まる動きは今後も広がりそうだ。

(平嶋健人)

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