量産に乗り出す前に撤退した自動車「ミカサ」のレプリカ

 オフィス家具大手オカムラ。1945年、航空機の技術者だった吉原謙二郎が横浜市で岡村製作所を創業したのがルーツだ。吉原は日本飛行機に勤務していたが、終戦に伴い、同僚たちと資金などを出し合って会社を設立。鍋や弁当箱など金属製の生活必需品の生産に乗り出した。社名は創業の地の町名から取った。(共同通信=出井隆裕記者)

 創業初期、航空機製造で培った技術を生かして進駐軍にスチール製の家具を納入し、それが後にオフィス向けの机や椅子の生産につながる。さらに当時は木製だった商店の陳列棚でもスチール化に対応し、もう一つの主力事業に育てた。

 一方、技術者たちの大空への情熱は冷めておらず、航空機の製造が解禁された直後の1953年には国産機の開発に成功。その後、自動車の製造にも乗り出したが、巨額投資が経営を圧迫するとの判断から家具に専念した。

 1980年にオフィス研究所(現ワークデザイン研究所)を設立し、働き方の変化に合わせた製品の開発を加速させた。6年前には会社名を製品のブランドとして親しまれているオカムラに改めた。

開発に成功した航空機=1953年、静岡県内
現在販売中のオフィス向けの椅子「コンテッサ セコンダ」
創業者の吉原謙二郎
創業期に手がけた金属製の生活必需品
1955年に撮影された、従業員の集合写真=横浜市
初期のオフィス向けスチール机と椅子

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