全長6メートルの「くいだおれ太郎」が太鼓をたたきながら出迎える(イメージ図)

野村不動産コマースなどは9日、大阪・道頓堀の商業施設「中座くいだおれビル」の全面改装について大阪市内で記者会見を開いた。2025年春に新装開業し、正面に人形「くいだおれ太郎」の全長6メートルの立体看板を設ける。25年国際博覧会(大阪・関西万博)を控え、国内外の来訪客増加が見込まれる中、道頓堀の新たな観光スポットにする。

中座くいだおれビルは04年、老舗劇場「中座」跡地に建てられ、現在は野村不動産ホールディングス系の上場不動産投資信託(REIT)である野村不動産マスターファンド投資法人で所有する。09年に黒縁眼鏡と太鼓でおなじみのくいだおれ太郎が移設された。24年6月から改装工事を進めており、事業費は19億円。

改装で地上6階、地下1階の建物の外観を、くいだおれ太郎の立体看板と発光ダイオード(LED)ビジョン、電飾で覆う。くいだおれ太郎はこれまでと同様、1階入り口に設置される。2〜3階には中座時代の芝居小屋を疑似体験できる空間を設け、中座時代からまつられている「芝右衛門狸」の人形などを展示する。

施設は「食(くいだおれ)」を前面に押し出す。飲食店など20店舗が入り、うち15店舗が新規出店となる。今後、エンターテインメント関連のテナントも入る予定で、大阪の歴史や文化を発信する場としての役割も担う。

「中座くいだおれビル」は観光客で溢れる道頓堀に位置する(画面中央奥、8日)

野村不動産コマースの宮本淳司取締役は「道頓堀は約30の立体看板が集まる激戦区だ」と語った。周囲の建物に埋没しない個性的な外観で、道頓堀や大阪全体の観光を盛り上げる。

くいだおれ太郎は1949年に道頓堀で創業した食堂「大阪名物くいだおれ」で、翌50年から店頭に設置され、道頓堀のシンボルとして親しまれた。08年に同食堂が閉店した後、現在の中座くいだおれビルが「くいだおれ」の名称を借り受け、くいだおれ太郎も移設された。

記者会見に登壇した(左から)野村不動産投資顧問の増子裕之執行役員、くいだおれ太郎、野村不動産コマースの宮本淳司常務取締役(9日、大阪市)

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