良品率が高く低コストの製法を実用化する(オキサイドが溶液法で製造したSiC結晶)

光学系部品のオキサイドと半導体受託生産会社のJSファンダリ(東京・港)は9日、電気自動車(EV)などに使う次世代パワー半導体の素材となるウエハー(基板)開発で協業すると発表した。良品率を従来より高める新製法で結晶を生産し、国内でウエハーに加工する。2024年度内にパワー半導体メーカーへのサンプル出荷を目指す。

2社は電圧を効率よく制御する炭化ケイ素(SiC)製パワー半導体ウエハーを開発する。オキサイドが結晶を生産し、JSファンダリが結晶の切り出しや研磨、薄膜育成などを担う。EVのほか、変電所や風力発電所などの電力インフラへの活用を見込む。

オキサイドの「溶液法」は従来の「昇華法」に比べ、欠陥が少ないSiC結晶をつくれる。欠陥が少ないほどウエハーからパワー半導体に加工する際の良品率が上がるため、チップ当たりのコストを抑えられる。

シリコン製ウエハーでは信越化学工業やSUMCOなど日本勢の世界シェアが5割に達しているが、SiCウエハーは米国や中国など海外勢に依存する。SiCウエハーは品質にムラが出やすく、海外調達のリスクは大きいとされる。オキサイドは国内で安く安定してSiCウエハーを生産する体制を整え、国内デバイスメーカーに安定供給する。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。