NTTコミュニケーションズ(コム)は7日、生成AI(人工知能)のモデル学習において、分散型データセンター(DC)と単一のDCで処理能力に差がないことを確認したと発表した。NTTが開発中の次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」で離れた2カ所のDCをつないで通信の遅延を抑えたことなどで、高い処理能力を確保した。
データの利活用や画像処理などの分野で多くの計算資源が求められている。一方、1台のサーバーに搭載できる画像処理半導体(GPU)には限りがあるため、複数台のサーバーを並べ同時に使わなくてはならない現状だ。1拠点のDCでは用地や電力供給に制限があるが、DCを分散させることでデータ処理量を増やせる。
通信の遅延や消費電力を抑えるIOWNのネットワークサービスと米エヌビディアの生成AIモデルを開発するプラットフォームを組み合わせた実証実験としての成功は世界初となる。エヌビディアのGPUを搭載したサーバーを約40キロメートル離れた東京・三鷹と同・秋葉原のDCに分散配置して実施した。
単一DCで生成AIのモデル学習をする場合の所要時間と比べ、インターネット経由の分散DCでは29倍の時間がかかるが、IOWNでつないだ分散DCでは1.006倍だった。データアクセスの性能に関してもインターネット経由の分散DCでは2613倍の時間がかかるが、IOWN接続の分散DCでは1.1倍と単一DCとほぼ同等の性能だと分かった。
今回の実証実験は小規模な生成AIモデルの事前学習や追加学習など比較的軽量な処理に留まる。NTTコムは今後、データ処理の負荷を上げるなど実証環境を拡充するとともに社会実装に向けたパートナーを募る。
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