ロームは大きさや価格を抑えたテラヘルツ波の発生・検出装置を開発した(㊧が発生装置、㊨が検出装置)

ロームは30日、次世代通信規格「6G」などに必要な「テラヘルツ波」と呼ぶ電磁波の発生装置を開発したと発表した。サイズは約4ミリメートル四方で、他社の従来製品と比べて体積を1000分の1以下、価格を10分の1以下に抑えた。テラヘルツ波は医療・ライフサイエンスや車載センサーといった用途で普及が見込まれている。

テラヘルツ波は周波数が100ギガ(ギガは10億)〜10テラ(テラは1兆)ヘルツの電磁波で、電波と光の中間の周波数帯にある。高速通信規格「5G」で使われる電波よりも周波数が高く、より高速で大容量の通信が可能になり、車載センサーだけでなく医療分野でも活用が期待される。物体を透過できる性質もあり、イベント会場などで身体検査や不審物を見つけるときのセキュリティーにも需要が見込まれている。

ロームが新たに開発した0.5ミリメートル四方のテラヘルツ波発生素子は、周波数が320ギガヘルツで、出力10〜20マイクロ(マイクロは100万分の1)ワットの電磁波を出す。発生方法を工夫することで装置を小さくし、消費電力も抑えた。サンプル価格は1個税別10万円で、従来品と比べて10分の1以下にしたという。併せて同サイズのテラヘルツ波の検出装置もサンプル供給する。

ロームは2000年代後半から東京工業大学や大阪大学などと共同で電磁波発生装置の開発を進めてきた。従来はサイズが大きいうえ、導入コストが数百万円から数千万円かかるのが課題だったという。

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