障害福祉サービス「就労継続支援A型」の事業所の利用者に賃金の一部を支払わなかったとして、札幌市は27日、「中和welfare」(札幌市)が運営する2事業所の指定を取り消すと発表した。不払い分は少なくとも210万円以上にのぼるが、支払いのめどは立っていない。生活に困窮している利用者もいるという。
就労継続支援A型は、障害のある人などが事業所と雇用契約を結び、就労に必要な知識と能力の向上のための支援を受けながら働く事業所。
障がい福祉課によると、処分を受けた事業所は「ミンナノオシゴト桑園」(中央区)と「ミンナノオシゴト菊水」(白石区)。利用者計34人に対して、6月と7月支給分の賃金の一部約210万円を払っていない。8月も一部不払い、9月は全額不払いという状況だが、同課は8~9月分の金額は把握できていないという。
市側は従業員からの通報で状況を把握。監査の結果、経済的虐待行為であり、人格尊重義務違反と判断した。指定の取り消しは、事業継続ができなくなるもので、行政処分の中では最も重いという。今後、利用者に福祉サービス利用意向を個別に聞き、調整を進める。
また、2事業所は必要な有資格者を配置していないなど、市から少なくとも約4200万円を過大に受け取っていたこともわかった。
中和welfareは、保育園運営をめぐり市から約1億円の返還を求められている「中和興産」と同じ人物が代表をつとめている。(原知恵子)
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