笠井直人社長は財務目標について「極めて高い数値だ」と話した(25日、東京都港区)

日本調剤は25日、2036年3月期に自己資本利益率(ROE)を24年3月期の3.4倍の15%に引き上げる長期ビジョンを発表した。投下資本利益率(ROIC)は15%、営業利益は400億〜500億円を目標に掲げた。薬局業界で再編が進むなか、売上高よりも収益性を重視した経営に転換して勝ち残りを目指す。

24年3月期のROEは4.4%、ROICは4.8%、営業利益は91億円だった。5月に就任した笠井直人社長は同日に開いた長期ビジョン説明会でそれぞれの財務目標について「極めて高い数値だ」としつつ、「当社グループが優位性をもって勝ち残るためには必達だ」と述べた。

収益性の指標となるEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)を今後12年での3倍以上に引き上げる計画も示した。調剤薬局事業では不採算店舗を整理しつつ、大都市圏を中心に年間40店舗程度の自力出店を計画する。人工知能(AI)の活用や機械化によって課題の労働生産性を改善していく。

医薬品製造販売事業では生産品目の集約と生産量の拡大でスケールメリットを生かす。医療従事者の派遣・紹介事業ではM&A(合併・買収)を含めてシェア拡大を目指す。

日本調剤はオンライン服薬指導サービス「ニコムス」を自社開発するなど、IT(情報技術)の活用にも力を入れている。9月にはアマゾンジャパン(東京・目黒)の処方薬オンライン服薬指導・配送サービス「アマゾン・ファーマシー」を自社店舗に導入した。

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