過労死した郵便局員の遺族らが代表を務める「郵便局過労死家族とその仲間たち(郵便局員過労死家族会)」が発足した。2010年に、さいたま新都心郵便局(さいたま市)で過労自死した小林孝司さん=当時(51)=の妻明美さん(56)が共同代表を務め、19日に東京都内で会見。自死や心不全での死亡などが郵便局で続いているといい、「同じつらい思いをしている人に寄り添って少しでも解決に向けて協力したい」と話した。

◆2024年だけでも4人死亡「氷山の一角」

 会は、声を上げられない被害者や遺族が被害の原因を究明し補償などが得られるようにと、7月に発足した。被害防止のために相談窓口を設置し、日本郵政グループ各社に過労死・過労自死、精神疾患を起こさない取り組みを求める。  会によると、2001~24年までに突然死・自死が25人起きている。2024年だけでも深夜勤務の非正規労働者ら4人が亡くなっているが、会のメンバーは「われわれが知っているのは氷山の一角でしかない」と話す。

「いまだに全国の郵便局員の過労死、過労自死が起きている」と訴える小林明美さん(前列中央)=19日、東京都内で

 小林さんは、年賀はがき販売で達成困難なノルマを課せられるなどし、うつ病を発症して自殺。安全配慮義務違反訴訟で遺族と会社が和解し、2020年に労働災害としても認定された。札幌市の豊平郵便局の非正規社員だった男性(36)を2019年に亡くした家族も、共同代表に加わっている。  日本郵便の広報は「会のホームページで自死事案が掲載されていることは把握していて、重く受け止めている。引き続きハラスメント相談窓口や、長時間労働の削減に取り組んでいく」と話した。(竹谷直子)  ◇ ◆相談窓口
・「いのちの電話」
 0570-783-556(午前10時~午後10時)
 0120-783-556(フリーダイヤル、毎日午後4時~同9時 毎月10日午前8時~翌日午前8時)
・全国のいのちの電話一覧(一般社団法人「日本いのちの電話連盟」)
・いのち支える相談窓口一覧(いのち支える自殺対策推進センター)
・こころの健康相談統一ダイヤル
 0570-064-556(曜日、時間は都道府県により異なる)
・都道府県・政令指定都市の相談窓口 

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