京王電鉄は19日、グループ会社で鉄道の保守や整備を行う京王重機整備が実施した車輪と車軸を組み立てる作業で1786本の輪軸で圧入力値が基準値から逸脱し、そのすべてで記録を改ざんしていたと発表した。京王電鉄の鉄道車両のほか、東京都交通局などでも使われていた。取引先に納入済みの輪軸は順次点検して安全性を確認する。

車輪と車軸からなる輪軸は機械で圧力をかけて組み合わせる。京王重機整備は2016年以降、組み立てた輪軸約1万本を調査したところ、圧入力値が日本産業規格(JIS)の規定値に基づく上限を最大20%超過したり、下限を50%下回っていたりするものがあった。また規定値を外れた輪軸は規定範囲内であるように見せかけるよう数字を書き換えていた。

作業にあたっていたのは北野事業所の車輪チーム11人。作業員は「圧入力値が規定値を逸脱していても車輪の内径と車軸の外径の差などが適切であれば安全上問題ない」と認識していた。

京王重機整備は関東の鉄道会社を中心に37社・団体に輪軸を納入している。基準値から外れた1786本のうち京王電鉄分が937本、東京都交通局分が467本で、京王重機整備は残り382本がどの鉄道会社で使われているのか明らかにしていない。

これ以外に組み立てから時間が経過し、データが残っておらず圧入力値を確認できない輪軸も587本あった。

国土交通省は19日、20日から京王電鉄などに特別保安監査を行うと発表した。五十嵐徹人鉄道局長は「鉄道輸送の安全確保の仕組みを根底から覆す行為であり、極めて遺憾」とコメントした。

輪軸を巡ってはJR貨物が10日、基準値を超す圧力がかかった場合、基準値に収まったように検査記録を改ざんしていたと発表。東京地下鉄(東京メトロ)でも保有車両の一部で圧入力値の基準値超えとデータの書き換えが判明している。

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