あなたのまちの土地の価格は?地価調査マップ

去年と比べて価格が上昇した地点は赤色で、下落した地点は青色で示しています。

自由に地図を動かして知りたい情報を参照することができ、調査地点をクリックすると、10年分の価格がグラフで表示されます。また、去年と今年の調査結果を2画面で比較することもできます。

「あなたのまちの土地の価格は?地価調査マップ」

都道府県地価調査とは

都道府県が行う調査で、毎年7月1日時点の各地の価格が9月に公表されます。「地価公示」という言葉をよく耳にすると思いますが、こちらは1月1日時点の価格について国が調査するもので3月に公表されます。

いずれも土地の売買価格の目安とされ、その地域の景気の動向も表すとされています。

地価公示は1970年に、好景気による地価高騰をうけて、適正な価格の取引を促すことを目的に始まりました。ただ当初は調査対象を都市部に限っていたため、地方でも調査が必要だとして5年後に都道府県地価調査が始まりました。

今年の全国の傾向は?

3年連続上昇
全国平均は、去年に比べてプラス1.4%と、3年連続で上昇し、上昇率も拡大しました。

地方都市・観光地が全体を底上げ
今年は大都市圏だけでなく地方の都市や観光地などでも広く地価の上昇が見られ、地方圏のうち札幌、仙台、広島、福岡の「地方4市」を除いた地域でプラス0.2%と、1992年以来、32年ぶりに上昇に転じました。

用途別の特徴です。

住宅地
都市部の利便性の高い地域を中心に住宅需要が堅調で、海外の富裕層などによる取引も活発となっているほか、リゾート地として知られる離島などに移住しようという動きも地価を押し上げました。

商業地
商業地もコロナ禍と比べ働く人の出社する頻度が増えオフィス需要が高まっているほか、海外を含めた旅行者の増加で、観光地を中心にホテルや飲食店向けの土地の需要も急速に高まっています。

地価調査 上昇率上位は沖縄 北海道 熊本 全国的に上昇基調

ここからは、去年の調査結果と比較した2画面のマップで、各地で起きていることを詳しく見ていきます。

注目ポイントは、外国人観光客の増加と外資による開発の影響です。

広がる外資の影響

スキーリゾートで世界的にも知られている北海道のニセコ周辺です。

こちらは富裕層をターゲットに外資によるホテルなどの開発が活発に行われ、地価が上がり続けています。

去年の調査結果との違いは、上昇した赤い点がリゾートの西側と東側で新たに増えている点です。

黄色の円で示した場所は、蘭越町や喜茂別町です。

なぜ、リゾートから離れた地域で地価の上昇が始まったのでしょうか。

今回、調査にあたった不動産鑑定士は、外資による開発の影響が広がってきていると分析します。

不動産鑑定士 横山幹人さん
「ニセコでは、外資によるホテル建設などに伴い従業員用の住宅需要が高まっているが住宅の供給が不足し、地価が高くなっているため、さらに西の蘭越町、東の喜茂別町で住宅を求める動きが見られはじめた」

また蘭越町の担当者は次のように話します。
「ニセコ周辺のリゾートで働くひとが移住するケースが近年見られ、昨年度も転入超過となっている。新しい集合住宅の建設もあり、蘭越町を選んだ理由としても、ニセコ周辺では地価が高いから、といった声も聞かれている」

同じくスキーリゾートで有名な長野県白馬村も同様の傾向が見られます。

去年と比べると北側の小谷村でも、上昇したポイントが増えました。

不動産鑑定士 大日方一成さん
「白馬村ではシンガポール企業による高級ホテルの進出なども決まっていて、また円安から、オーストラリア・東南アジアから別荘を求める動きが活発だ。北側に隣接する小谷村にもスキー場やペンション、別荘地があるため、今後このエリアでも取引の動きが広がることが見込まれる」

実は“外資”ではなく… 沖縄県 本島北部

そして、去年と今年で大きな違いが見られたのが沖縄県。

本島南部の那覇市、離島の宮古島、石垣島などは、外資系のホテルの建設が相次ぐなどして地価の大幅な上昇が続いていて、今年も同じ傾向ですが…。

本島の北部を見ると、去年は“変化なし”の白だった地点が、今年は“上昇”の赤に変わっています。

外資の開発が北部でも始まっているのか、と思いましたが、取引の中心は日本人でした。

不動産鑑定士 仲本徹さん
「那覇市や宮古島、石垣島などではすでに地価が高く手が届きにくい一方、北部には割安感があるうえ、豊かな自然も人気が高い。そのため、日本人による別荘の購入や移住が進んでいることが地価上昇の背景にある。また、大型テーマパークの建設が進んでいて集客の期待感も高い。今はまだ海外での知名度がそこまで高くないので、知名度が上がってくれば外資の取引の動きが出てくる可能性はある」

災害も地価に影響

地価調査にはこの1年間での大きな出来事も反映されています。

今年1月に地震が起きた能登半島。

下落傾向であることは去年と同様ですが、石川県輪島市のポイントをクリックして10年の推移グラフを見ると…。

今年は下落の幅が大きくなったことが分かります。

不動産鑑定士 西郷悟さん
「地価調査では、直接の被害の大きさだけでなく、水道などインフラの復旧にどれだけ時間がかかっているかなども考慮されるため、半島の北側ほど下落幅が大きくなる傾向にある」

影響は広範囲に

こうした災害による影響は、能登半島だけではありません。

200キロほど東に離れた、新潟市西区です。

去年は上昇していたのですが、今年は下落している地域があります。

不動産鑑定士 飯田英範さん
「地震による液状化で道路や住宅への被害があり、復旧工事にも時間がかかることが反映された」

地価調査の結果からも、能登半島地震が広範囲に影響を及ぼした災害だということが分かります。

全国的に地価が上昇した今年の地価調査。

移住や外資による開発、災害など、この1年、その地域で起きたことが反映されています。

「あなたのまちの土地の価格は?」

マップから、その背景を探ってみてはいかがでしょうか。

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