都内で記者会見した東京大学の古澤明教授(左)とOptQCの高瀬CEO(中央)と技術アドバイザーのアサバナント・ワリット氏

東京大学発のスタートアップ、OptQC(東京・豊島)は17日、2026年度中に自社開発の光量子コンピューターを商用化すると発表した。超電導などを使う通常の量子コンピューターに対して光量子コンピューターは常温で動作でき、拡張が容易という特徴がある。同コンピューターの商用化は世界でも珍しい。

25年度中に茨城県つくば市の産業技術総合研究所内で1号機を作る。まずは完全な量子ビットではなく、光の量子的な性質を使った量子コンピューターになる。26年度の商用化時はコンピューターを利用するメンバーシップ企業を10社程度募集する。

その後も技術開発を進めて光の操作・測定技術を高め、29年度には3号機として完全な光の量子ビットを使った量子コンピューターの公開を予定する。同年度までに大学や企業などで購入できる量子コンピューターの作成・販売を目指す。

光量子コンピューターは光が持つ量子の性質を使う。実現できれば常温で動作でき、光通信などとも相性がよく、光ファイバーなどを使ってビット数を増やすなどの拡張が容易という。一方でノイズに弱いなど実用化には課題も大きかった。

OptQCは量子コンピューターを研究する東京大学の古澤・遠藤研究室からスピンアウトしたスタートアップ。17日に記者会見した高瀬寛・最高経営責任者(CEO)は「日本が海外の量子コンピューターを買っている状態を5年後に日本製で逆転できるようにしたい」と話した。年内に資金調達を予定しており、海外販売などにも経験のあるベンチャーキャピタル(VC)などを中心に交渉を進めている。

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