大規模な改装が始まった西武池袋本店(7月、東京都豊島区)

そごう・西武は12日、2025年に全面改装開業を予定する西武池袋本店(東京・豊島)の改装計画のデザイン詳細を公表した。高級ブランドや化粧品、デパ地下の食品などに絞る。各階では男女の売り場を分けずに運営を効率化する。西武池袋をはじめ全国にある10店を順次改装していく方針だ。

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都内で改装案に関する説明会を開いて計画を公表した。劉勁代表取締役のほか、執行役員である田口広人社長らが登壇した。そごう・西武が記者会見を開くのは、23年9月にセブン&アイ・ホールディングス(HD)が米ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却してから初めて。

6月に公表していた西武池袋の改装案をもとに、百貨店エリア全体で高級ブランドの世界観を意識した空間づくりや上質さを意識した内装とし、大理石調の床材をつかったデパ地下など階ごとのデザインを公開した。

25年に改装開業を予定する西武池袋本店の正面入り口(改装開業時のイメージ)

フォートレスはヨドバシHDへ西武池袋などの一部不動産を売却した。同店に家電量販店「ヨドバシカメラ」が出店するため百貨店としての面積は半減する。改装後は約4万8000平方メートルの売り場に約380店が入る。

「ルイ・ヴィトン」などの高級ブランドや化粧品、食品に売り場を絞り、高級ブランドの売り場は約3割、化粧品は7割現状から拡張する。衣料品などは縮小する。高級ブランドや衣料品は従来フロアが分かれていた男性向けと女性向けを複合店として展開する。

そごう・西武の劉勁代表取締役(右から2人目)らが西武池袋本店の改装案について説明した(12日、東京都港区)

劉代表取締役は「売り場面積は改装前の55%程度になるが、全面改装後は改装前と同程度の売上高を目指す」と述べた。また、地方店について劉氏は「地方店でも設備投資を進めつつ店舗運営のやり方を変えていく。閉店や撤退は考えていない」と全国10の店や西武池袋などの雇用を維持する姿勢を表明した。

田口社長は「外商はこれまで以上に力を入れる。将来的には売上高の3〜4割にしたい」と語った。

そごう・西武は12日までに、西武池袋をはじめとする全国の10店の改装に合計で数百億円を投じる計画を明らかにした。改装投資について詳細な額は明らかにしなかったが、西武池袋を中心にそごう千葉店(千葉市)や同広島店(広島市)など地方店への改装投資も合わせて600億円規模となる見込みだ。

そごう・西武はフォートレス日本法人の幹部らが経営陣に就任し、改装案の策定や海外ブランドなどとの出店継続交渉などをしてきた。改装前に入居していたブランドのほぼ全てが改装後も西武池袋で営業を続けるという。劉氏は「ヨドバシカメラや『無印良品』などが日常的な商品を提供する中、そごう・西武は百貨店として非日常的なわくわくする感覚の商品を提供していく」と話した。

店舗運営の効率化を進める計画も公表した。売り場運営と商談の部門を分け、商品横断で担当を配置する。

西武池袋では5月末までに約200のテナントが営業を終了し、改装工事が本格化している。ヨドバシHDが6月に西武池袋の1階免税カウンターの跡地に化粧品や美容家電の専門店「ヨドブルーム」を先行して開いた。食品売り場は8月に従来のデパ地下から7階に移転して「デパナナ」として営業を始めている。

23年8月31日、そごう・西武労働組合が百貨店従業員としての雇用維持などを主張し西武池袋で百貨店として61年ぶりのストライキを実施。店舗が臨時休業となった。ヨドバシの出店について地元から反発の声も上がっていたため、改装後の店舗の行方に注目が集まっていた。

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