ENEOSホールディングス(HD)と養豚農家のデジタル化支援を手掛けるスタートアップのEco-Pork(エコポーク、東京・千代田)は、国の二酸化炭素(CO2)削減量認証制度「J-クレジット」の大規模創出事業を共同で始めると発表した。飼料を変えると排せつ物に含まれる温暖化ガスが減る仕組みを利用する。クレジット創出が畜産業にも広がってきた。
豚の飼料を従来の飼料からアミノ産含有率が低い飼料に変えると、排せつ物に含まれるアミノ酸含有量が減る。排せつ物中に含まれるアミノ酸は温暖化係数がCO2の265倍とされる一酸化二窒素(N2O)の発生源となっており、少量でも排せつ物中のアミノ酸含有量が減れば、温暖化ガス削減に大きな効果があるという。
エコポークが中心となり、プロジェクトに参画する養豚農家を募る。農家はアミノ酸含有量が低い飼料を使いエコポークの生産管理システムに記録する。その後、エコポークがJ-クレジットの認証申請を代行する。認証を受けたクレジットはENEOSが全量買い取り、エコポークが代金の一部を養豚生産者に還元する仕組みだ。ENEOSの買い取り価格や畜産農家への還元率は非公表。
すでにキリシマドリームファーム(宮崎県都城市)など2つの養豚生産者が参画して取り組みを始めた。エコポークは2025年度にも24年度分の取り組み内容をクレジット申請する計画だ。今後も参画する生産者を募る。全国の生産者の数十%が参画することを目指す。30年までにCO2換算で累計1万1000トンの削減を見込む。
ENEOSはエコポークに出資している。CO2の多排出事業者として森林によるCO2吸収などの取り組みを積極化してきた。養豚分野でのJ-クレジット創出は養豚生産者の支援にもつながる付加価値の高い環境取り組みと位置付ける。
畜産分野のJ-クレジット創出の取り組みは酪農分野で明治が取り組みを進める。養豚分野で多数の農家の参画を募りとりまとめるプロジェクト型の事業としては初めてとみられる。
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