新薬販売の伸びや、販管費の抑制が業績を押し上げる

アステラス製薬は25日、2025年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比76%増の300億円になりそうだと発表した。米国における前立腺がん薬の販促費を減らすほか、前期に実施した早期退職者の募集に伴う人件費の抑制も寄与する。新薬の販売も利益を押し上げる。

売上高にあたる売上収益は3%増の1兆6500億円。尿路上皮がん向け治療薬「パドセブ」が米国を中心に伸び、販売額は77%増の1512億円を見込む。23年に米食品医薬品局(FDA)から承認を受けた加齢黄斑変性向けの「アイザーヴェイ」は3.8倍の464億円の売り上げを想定する。

売り上げ全体に占める割合が4割を超える前立腺がん薬「イクスタンジ」は、今期の販売額が1%増にとどまる。イクスタンジは20年代後半に特許切れとなる予定だ。同日の決算会見で岡村直樹社長は「アイザーヴェイなどの成長により、イクスタンジの独占販売期間満了を克服できる体制を目指す」と強調した。

同日発表した24年3月期の連結決算は、売上収益が前の期比6%増の1兆6036億円、純利益が83%減の170億円だった。神経系の希少疾患を対象とした治療薬候補「AT808」の開発が遅れ、無形資産の減損損失を計上した。

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