英国史上最大規模の冤罪(えんざい)事件とされる「郵便局事件」を巡り、事件の原因となった会計システムを手がけた富士通の時田隆仁社長は25日、「当社が関わっていることについて、非常に残念で、そして申し訳なく思っております」と謝罪した。年明け以降に事件が再注目されて以降、時田社長が会見などの場でこの件に言及するのは初めて。
この日の決算説明会で、記者からの質問に答えた。
富士通は英国での法廷調査が続いている間、同国での公契約の入札を自粛しているが、業績に与える影響は「限定的」とした。
郵便局事件は1999年以降に富士通の子会社が提供した会計システムに欠陥があり、システム上の残高と実際の現金に差異が発生。700人以上の郵便局長らが不正会計などの罪で訴追された。今年1月にドラマ化された。
富士通は国内外で官公庁系の公的システムを多く手がける。時田社長は「当社は英国の事案を含め、多くのパブリックな仕事を任されている立場にある」とした上で、「一層の品質の向上および信頼の回復に努めてまいりたい」と述べた。
富士通のシステムを巡っては、国内では、マイナンバーカードを使った証明書交付サービスで誤発行が相次ぐ問題も起きた。同社は昨年、2度にわたってシステムを停止して改修したが、今月、高松市で再び誤交付が発生。総務省が同社に行政指導をした。
この件についても時田社長は「大変なご不安とご迷惑、ご心配をおかけしたことを改めておわび申し上げます。行政指導を真摯(しんし)に受け止め、しっかりと対応をしたい」と述べ、重ねて謝罪した。(田中奏子)
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