輸送費の上昇やドライバー不足といった物流問題に対応するため、埼玉県は物流大手、官公庁の出先機関などと連携する。このほど「持続可能な物流の確保に向けた共同宣言」を発表した。物流の効率化、再配達の削減などに関係者と力を合わせて取り組む。各地で参考にできるモデルケースを埼玉で構築することを目指す。

埼玉県は物流問題の解決に向け、共同宣言を発表した(3日、さいたま市)

埼玉県戦略会議の会合が3日に開かれ、その場で共同宣言を発表した。大野元裕知事は、物流問題はサプライチェーン全体や自治体の枠を超えた連携で解決する必要があると指摘。官公庁の関係機関のほか、ヤマト運輸や佐川急便の物流大手などを加えた枠組みをつくり、本格的に対応するとした。

物流の円滑化に向けては商慣行の見直し、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、適切な納品期間の確保などを進める。ドライバー不足の背景には成り手が減る現状があるとして、大学や労働団体などと協力して人材確保と定着に向けた対策に取り組む。県の消費者団体連絡会などとともに再配達削減も県民に呼びかける。

国土交通省などは、荷主と運送事業者が連携して物流問題の改善を目指す「ホワイト物流」運動を推進している。県内でも賛同する事業者を増やすことを目標とする。

埼玉県はこれまで原材料価格の高騰問題に取り組み、値上がりした分を受発注企業間で適切に価格転嫁できるよう「価格交渉支援ツール」を作成するなどしてきた。この支援ツールは各地の対策の参考になった。物流問題でも実効性の高い取り組みを重ねる。

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