飛驒の伝統工芸「曲げ木」をイメージしたボードを設置

星野リゾート(長野県軽井沢町)は3日、岐阜県高山市の奥飛驒温泉郷で5日に開業する温泉旅館「界 奥飛驒」の内覧会を開いた。北アルプスの山深い立地を生かし、奥飛驒の木材を客室に使うなど「山岳」のイメージを旅館全体で演出した。体験メニューも充実させてインバウンド(訪日外国人)を呼び込む。

新旅館は奥飛驒温泉郷の平湯温泉で開業する。敷地には2つの宿泊棟と温泉棟、離れの4つの棟がある。後継者不在などで存続が難しくなった温泉旅館を改築した。延べ床面積は約5600平方メートルと界ブランドでは広めの造りにした。

「山岳温泉にめざめ、飛驒デザインにくつろぐ宿」をコンセプトとし、自然を感じられるよう食事や入浴で館内を移動する際に一度外に出る構造になっている。界の担当者は奥飛驒の温泉について「湯量の豊かさと湧出温度の高さが魅力」と話す。

簡単な曲げ木体験ができるメニューを提供

目玉は界ブランドの「ご当地部屋」として設けた「飛驒MOKU(もく)の間」。室内の木製家具には滑らかな曲線を描く伝統の「曲げ木」技術が使われている。全49室がご当地部屋の仕様となり、地元家具メーカーの飛驒産業(高山市)も協力する。

宿泊客専用のアクティビティーも用意する。「飛驒の匠(たくみ)体験」と名付け、簡単な曲げ木体験ができるメニューを提供。水に13時間浸して軟らかくなった木をゆっくりと曲げ、乾燥させて手提げバッグを作る。

宿泊料金は1泊3万1000円から(朝夕食付き、2人宿泊の1人あたり)。4万8000円の特別室は2室用意する。1人用の客室も2室あり、2万8000円から提供する。すでに11月下旬まで予約が埋まっているという。稼働率は約8割を目指す。

5日に開業する「界 奥飛驒」(3日、岐阜県高山市)

「界 奥飛驒」は名古屋駅からJR特急と路線バスを乗り継いで約4時間。高山市や奥飛驒エリアは、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ訪日客の客足が回復傾向にある。観光庁によれば岐阜県の6月の外国人延べ宿泊者数は前年同月比47%増えた。この日は高山から平湯温泉に向かう路線バスにも多くの外国人が乗車していた。

同旅館の須永隆介総支配人は「日本屈指の湯を誇る奥飛驒の地で回遊を楽しんでほしい」と話した。

(竜田菜美子)

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