記者会見に参加したセントラル硝子の前田一彦社長㊥(3日、山口県宇部市)

セントラル硝子は3日、山口大学と共同で再生医療事業を本格化すると発表した。凍結保管した細胞シートを使って、糖尿病などが原因となった難治性の皮ふ潰瘍の治療をめざす。事業化にあたっては山口県と宇部市から助成を受けることが決まっており、主力工場のある同市で製品を生産する方針も示した。

再生医療に用いるのは抜いた親知らずに付着している線維芽細胞で、培養してシート化した上で凍結保存する。治療時に解凍して患部に貼り付ける。1人の皮膚提供者から数百万枚を作ることができる。研究を進めてきた山口大医学部の浜野公一教授は「シートから分泌される成長因子が患部の治療を促進させる」と話す。

現在、細胞シートは研究段階で、2027年度内に臨床試験(治験)に入り、30年度ころに商品化することをめざす。セントラル硝子は皮ふなどの分野で数十億円、適用を肝臓など臓器に拡大できれば、百億円規模の市場が見込めるとしている。

地元自治体も支援に乗り出しており、24年度に県が補助金として3000万円、宇部市が1500万円の交付を決めている。3日に開催された記者会見に参加した前田一彦社長は「主力工場があり、創業の地でもある宇部市で生産したい。強化している医療関連事業の柱として育てていく」と意気込みを語った。

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