営業赤字が27年間続く第三セクターの平成筑豊鉄道(福岡県福智町)について、福岡県田川市など沿線9市町村が今後のあり方を検討した内容が2日分かった。①路線バスによる代替②バス高速輸送システム(BRT)③鉄道の施設保有と運行を分ける上下分離――の3案のうち、上下分離なら自治体負担は30年間で300億円を超す見通しとなった。
2日に開かれた同県みやこ町の町議会全員協議会で報告された。自治体の負担額はBRTなら200億円程度、路線バスなら100億円程度だった。現状を維持した場合の2026〜55年度の30年間の収支シミュレーションでは、赤字想定額が初年度に11億500万円、以降も毎年10億円前後となる。新型車両の導入費も含めて負担額は400億円に近づく。
全員協議会では9市町村が地域公共交通活性化再生法に基づく法定協議会の設置で合意したことも明らかにされた。10月に福岡県に法定協の設置を正式に要請する。関係者によると、同県は設置する方向で調整を始めているという。3案の試算をたたき台に沿線の地域公共交通のあり方を協議する見通しだ。
沿線市町村は平成筑豊鉄道に対し、すでに毎年約3億円の経営安定化助成金を支給している。ただ同社は物価高騰などの影響で24年度に2億5000万円程度の資金不足が生じるとして追加支援を求めている。全員協議会でみやこ町の内田直志町長は「(当面の)利用者の足を守るのは最優先の課題」と追加支援に前向きな考えを示した。
平成筑豊鉄道は直方、田川、行橋の3市を結ぶ3路線(約49キロメートル)などを運行している。自動車利用の拡大や人口減で23年度の輸送人員は135万人と30年間で61%減少した。売上高3億4000万円に対して、営業赤字は5億1800万円に上った。今後は施設の老朽化に伴う修繕費などの増大が見込まれている。
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