衆院財務金融委の閉会中審査で答弁する日銀の植田和男総裁(中央)。左端は鈴木財務相=国会で(佐藤哲紀撮影)
◆利上げ後に「一方的な円安の修正が進んだ」
7月の利上げ後、株価暴落の一因となった円高が進んだことについて「世界的なドル安と私どもの政策変更もあり、一方的な円安の修正が進んだ」と説明。現在の金融市場は引き続き「不安定。極めて高い緊張感を持って注視する」と述べた。 一方、黒田東彦前総裁が導入した大規模緩和が超円安を招き、今の物価高の一因。金融引き締めが遅かったのではとの指摘に対しては、植田氏は「春闘がしっかりした姿になると予想できる3月に大規模緩和を終了し、その後も見通し通りと言うことで利上げをした」と述べるにとどめた。 植田氏は2000年に日銀がゼロ金利解除の利上げを決めた際には、当時審議委員として反対票を投じた過去がある。当時の判断と今回の決定の違いについて、今は2%の物価上昇が長期間続いており、「物価を巡る環境が前回とは大きく違う中での意思決定だった」とした。◆「日銀内部はひと安心」と専門家
23日は米国時間に米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の講演も予定されていたため、発言次第では再び市場が混乱することを警戒したのか、閉会中審査での植田氏の発言には慎重さが目立った。 明治安田総合研究所の小玉祐一氏は「『経済・物価情勢の展望(展望リポート)』と総じて同じ内容の発言だった」と振り返り、「最近は総裁発言でマーケットが動くことが多かった。今日は(為替などが大きく動かず)日銀内部はひと安心だろう」と話した。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。