自民党の裏金問題に関して企業団体献金のあり方が問われる中、経団連の十倉雅和会長の23日の会見で、かつて経団連会長に就きながら清貧の生活ぶりで知られた土光敏夫氏と十倉氏との考え方の違いが鮮明になる場面があった。

◆「お金をかけすぎると民主主義を破壊する」

 十倉氏は、企業団体献金の廃止を求める声が高まっていることについて「政治にはお金がかかる。(廃止するよりも)透明性を高め、ルールを守るという実効性を伴った制度にするかを与野党で議論すべきだ」と述べ、献金廃止に反対の考えを示した。

経団連の十倉雅和会長(資料写真)

 一方の土光氏は1974年に経団連会長に就任した際の会見で「政治にはお金がかかる」と述べたうえで「だが、お金をかけすぎると民主主義を破壊する」と強調。造船疑獄で自らが逮捕された経験もあり、「企業は政治献金をすべきではない」を持論として経団連が政治献金に関与しないよう政治改革に全力で取り組んだ。

◆「政治にお金がかかるのは根源的な問題」

 こうした土光氏の例を記者から質問された十倉氏は「私も、政治にお金がかかるからといってなんぼでも(献金を)出すというのではない。政治にお金がかかるという根源的な問題をどうとらまえるか、国会で議論をしてほしいということだ」とあくまでも廃止論と距離を置いた。(久原穏) 

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