INPEXは8日、2024年12月期に最大で800億円の自社株買いをすると発表した。発行済み株式総数(自己株式を除く)の5.17%にあたる6400万株を上限に買い付ける。年間配当も従来予想から10円積み増し、前期より12円多い86円にする。為替の円安や堅調な原油価格で利益の伸びが見込めるとして、株主還元を手厚くする。
同社は5月にも500億円を上限とする自社株買いを発表し、7月末までにほぼ全額を買い付けた。今回の分と合わせた24年12月期通期の自社株取得額は合計1300億円と、通期では過去最高となる。
配当額の引き上げで、通期の配当総額も約1050億円と過去最高になる。純利益に占める配当と自社株買いを合わせた比率「総還元性向」は65%と、前期に比べ約5ポイント上昇する。
INPEXは還元の拡大について、今期業績見通しの確度の高まりを理由に挙げる。今期の総還元性向は当初約40%と、前期に比べ20ポイント下がる想定だった。利益の伸びに比べ、保守的だとの指摘が出ていた。
同日、24年12月期通期の予想(国際会計基準、IFRS)を上方修正した。売上高は前期比4%増の2兆2540億円と計画から760億円増えるとした。営業利益も12%増の1兆2490億円と、想定を390億円上回る。
原油の想定価格は据え置いたものの、期中平均の為替の前提を1ドル=148円と、従来予想から3円円安方向に見直した。採掘した外貨建ての原油や天然ガスの販売収入を押し上げる。
オーストラリアの天然ガス開発事業「イクシス」で小規模な操業トラブルがあったことなどで、純利益のみ同12%増の3600億円とする予想を変えなかった。ただ「24年後半の油価と為替が多少ぶれても、前期比の増益を確保できる自信が持てた」(山田大介・取締役専務執行役員)と説明する。
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