5日の東京株式市場で日経平均株価(225種)は大幅続落した。前週末比の終値の下げ幅は4451円28銭と、1987年の米国株式市場の大暴落「ブラックマンデー」翌日の3836円を上回り、史上最大となった。政府が「貯蓄から投資へ」を推し進める中、新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まってから初めての「大暴落」となった。NISA口座の開設数が増える中、不安を感じる投資初心者も多い。専門家は、投資の心構えとして長期的な視点の必要性に言及する。(石井紀代美、白山泉)

下げ幅が一時4700円を超えた日経平均株価を示すモニター=5日、東京都中央区で(布藤哲矢撮影)

◆政策の後押しでNISA口座数は1.3倍に

 日経平均の終値が過去最大の下落幅を記録した午後3時過ぎのJR新橋駅前。NISAを始めて間もない会社員男性(31)は「岸田政権は『貯蓄から投資へ』と強調するけど、これだけ下落すると心配です」と漏らした。50代の会社員女性も「株は読めない。こういうことがあると投資にちゅうちょしてしまう」。  今年1月にNISAの非課税投資枠を拡大するなど、政府は国民に投資を促してきた。2月には日経平均が約34年ぶりに史上最高値を更新した。日本証券業協会によると、6月末の証券10社のNISA口座数は1520万件と前年比で1.3倍に増えた。

◆あわてず動じず「分散投資を」

 野村総合研究所の木内登英氏は「世界的な物価高が続く中、日銀が異次元緩和を続けたことで『円安・株高』が行きすぎていた」と解説する。ただ約40年前の「ブラックマンデー」の時と違い、今回の株価の下落幅は日本が突出しているとして「日本に集中したパニックだ」とみる。

終値で過去最大の下げ幅を更新した日経平均株価を示すモニター=5日、東京都中央区で(布藤哲矢撮影)

 投資歴20年という横浜市でコンサルタント業を営む男性(70)は長期投資を心掛け、株主優待や配当金を意識した投資をしている。「下がったものは、また上がる。これで飯を食っているわけでもないから」  木内氏は投資初心者に対し、短期間の価格変動に慌てず、定額で分散した積み立てを勧める。また「日本株だけなら2割下がっているが、米国株や債券など分散投資をしていればリスクが小さくなる」と話す。 

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