体育館の床に耳をつけて軟骨伝導を体験した育英西高校の生徒たち(20日、奈良市)

耳の入り口付近にある軟骨に振動を与えて音を伝える「軟骨伝導」を多人数で同時に体験する実証実験が、奈良市の育英西中・高校であった。軟骨伝導は奈良県立医科大学の細井裕司学長が発見。個人向けのイヤホンなどが開発され、金融機関や自治体の窓口で採用が広がっている。実験に参加した細井学長は「一度に多くの人に仕組みを理解してもらえる。新しい音響機器の開発などにも可能性が広がる」と話した。

軟骨伝導は、空気の振動による「気導」、頭蓋骨の振動による「骨伝導」に次ぐ「第3の聴覚」とされる。実験では、奈良女子大学の犬伏雅士特任教授が考案した直径約4センチの円形の振動装置を体育館の床に設置。生徒たちは装置を囲むようにして寝転んで床に耳をつけ、装置が起こす振動によって音楽が聞こえることを確認した。

振動装置を取り囲んで寝転び、軟骨伝導を体験する生徒たち(20日、奈良市)

育英西中・高は私立女子中高一貫校で、今回の体験授業は理工系女性の育成プログラムの一環として実施。高校1年生33人が参加した。参加した生徒の一人は「(装置から)5メートルくらい離れた場所でも聞こえた。色々と試すことで自分の思考も深くなると感じた」と話した。

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