三菱ケミカルグループは1日、製鉄原料のコークス(蒸し焼きの石炭)の生産能力を4割削減すると発表した。鉄鋼需要の落ち込みなどで収益が悪化しており、コークスを主力とする炭素事業は赤字が続いている。販売や生産体制を見直し、2026年3月期に同事業の黒字化を目指す。
製鉄工程に使うコークスは香川事業所(香川県坂出市)で生産し、現在の生産能力は年間約250万トン。25年3月末までに生産能力の4割にあたる設備での生産を止める。従業員は事業所内で再配置する方針だ。
コークスは中国を中心に鋼材需要が伸び悩んでいる影響で市況が低迷している。24年3月期の炭素事業の売上収益は前年同期比17%減の3037億円、本業のもうけを示すコア営業利益は194億円の赤字に転落していた。同日発表した24年4〜6月期も83億円の赤字だった。
今回の生産能力の縮小で売上収益は数百億円の減少を見込む。市況に左右されやすいスポット販売の割合を下げるほか、追加の合理化策も検討し26年3月期にコア営業利益での黒字化を目指す。縮小に伴い24年7〜9月期に約70億円の固定資産減損損失を計上するほか、撤去費用なども今後計上する見込みだ。
炭素事業は24年3月までの前社長体制では23年度中の売却を目標としていた。「カーブアウト(事業切り離し)方針を大きく転換するというわけではなく、赤字の状況を続けるわけにはいかないという切迫感で大胆な決断をした」(木田稔執行役員)とし、まずは事業としての黒字化に向け生産、販売面を再構築する。
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