「GDS2024世界デジタルサミット」で講演するNTTの島田明社長(1日、東京都千代田区)

NTTの島田明社長は1日、「GDS2024世界デジタルサミット」(主催:日本経済新聞社)で講演し「日本社会を変革するために個別の人工知能(AI)だけではなく、さまざまなAIが連携する『連鎖型AI』に変えていく必要がある」と話した。労働人口の減少が進む中、AI間の連携を促し国内の生産性向上につなげる考えだ。

島田社長は業務・業界別に導入されている各AIを連携させることで、AIの導入効果を最大化できると説明した。PwCジャパングループの2023年の調査によると、AIをビジネスで活用している企業は米国で72%だったのに対し、日本は50%だった。AI間の連携により「AIの波に乗り遅れず、日本の競争力を取り戻す」と意欲を示した。

例えばサイバー攻撃対応でAIの連携を進められれば、攻撃の検知から防御、復旧対応、原因特定まで一貫してAIが支援できるようになるとみる。これまで検知や復旧といった各工程でAIの導入が進んできたが、そのAIを連携できればシステム運用者の負荷を軽減できるという。

ただ、AIの活用には膨大なデータ処理と電力が必要とされる。AIの連携が進むことで消費電力の増大が懸念される。島田社長はこの課題解決に向け、光技術を使った次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」の推進を掲げる。

カギを握るのが、電気処理を光に置き換える「光電融合技術」の活用だ。光電融合はIOWNの要となる技術で、通信の遅延を小さくするほか、消費電力も大幅に抑えられる。NTTはデータセンターで利用されるコンピューティング基盤に光電融合を組み込むことなどで、電力効率化を図る。

NTTは連鎖型AIの推進に向け、月内にコンサルティングの新会社を設立する。島田社長は「サステナブルなインフラ基盤とともに業務・業界を横断した連鎖型AIを進化させていくことが重要」とし、AIサービスやAIのデータ処理に使う画像処理半導体(GPU)基盤、データセンターを含めて支援していく考えを示した。

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