日本政策投資銀行は31日、能登半島地震で産地が被災した輪島塗に関するリポートを発表した。生産額がピーク時の9分の1に縮小していることを踏まえ、分業ではなく垂直統合化を進め、幅広いステークホルダーが再建に関わることが必要と指摘した。事業者の壁を超えて在庫管理や高付加価値品の販売に取り組む専門会社の設立を提言した。

輪島塗の生産額は1991年に180億円に達したが、23年には20億円まで減少していた。1990年代初めには2900人近くいた従業者数も1000人を切る水準になった。さらに能登半島地震で8割超の事業者で被害が発生したという。工程ごとに職人による分業が進み、生産に時間を要していた。

政投銀北陸支店(金沢市)は輪島塗を産業として持続可能にするには生産額を08年水準の50億円に戻すことが不可欠と指摘した。現状との30億円の差を埋める手の1つとして自治体や事業者などが参画する「輪島塗再興会社」の設立を提案した。

再興会社は部材や仕掛かり品、完成品の在庫管理を担う。各事業者が在庫を持たずに済むようにして運転資金面で支援する。百貨店で高付加価値品の販売コーナーを設けてもらうといった販路の拡大にも取り組む。

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