コメの品薄状態が続いている。昨年の猛暑による品質低下で流通量が減少、買い占めが起きないよう購入を制限するスーパーも出てきた。価格も上がり続けており、インバウンド(訪日客)の回復による外食需要の増加が拍車をかける。今後市場に出回る2024年産米も酷暑の影響が懸念され、業者や消費者の間に困惑が広がっている。
「ここまで品薄なのは平成の米騒動以来」。中堅スーパー「アキダイ」の秋葉弘道社長は頭を抱える。値上げを繰り返す中、アキダイ関町本店(東京都練馬区)では25日午前、コメ売り場に「おひとり様1点まで」の張り紙を掲示した。70代の女性客は「コメは毎日食べている。これからどうしよう」と、不安を隠せない様子だ。
23年産米の収穫量は例年並みだったが、高温により白濁したり、粒が割れたりする品質悪化で供給量が減った。ある大手スーパーは今年6月以降、在庫不足で特売を中止。別のスーパーは今月、前月比1~2割の大幅値上げに踏み切った。
「訪日客の急増で、日本食の消費が拡大していることも価格の押し上げ要因だ」(コメ卸大手)との指摘もある。
農林水産省が7月16日に発表したJAグループなどと卸売業者の6月の相対取引価格(速報値)は、玄米60キロ当たり前年同月比14%増の1万5865円と、約11年ぶりの高水準に達した。
東京都中野区の伊藤精米店では、仕入れ価格の上昇により在庫の余裕がなくなり、新規の飲食店からの注文を断っている。店主の伊藤武夫さんは「来月には新米の流通が本格化し品薄は解消されるはずだが、仕入れ価格が下がる見込みは薄い」とため息をついた。
コメ売り場に掲示された購入制限を知らせる張り紙=25日午前、東京都練馬区のスーパー「アキダイ関町本店」
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