「離コンパス」はAIが離婚の悩みに応える

法律実務書の出版を手掛ける日本加除出版は25日、人工知能(AI)が離婚に関する悩みに応えるウェブサービス「離コンパス」を始めたと発表した。法律に詳しくない一般の利用者向けに、調停離婚や子どもの親権など離婚の際に必要となる法律の知識をわかりやすく伝える。2024年中は無償提供して将来のビジネス展開に向けた需要を探る。

AIカウンセラーがウェブ上のチャットで利用者から家庭環境や離婚トラブルなどを聞き出して現状を整理。それをもとに利用者の状況や問題に合った法律的な助言をする。弁護士以外が報酬を得る目的で法律のアドバイスをする「非弁行為」は弁護士法で禁止されているが、離コンパスは日本加除出版の法律書をもとにしたAIによる要約との位置づけだ。

配偶者・パートナーによる暴力(DV)や不倫、性格の不一致など離婚の悩みは様々だ。離コンパスで、例えば「配偶者に不倫されて離婚を考えているが、子どもが心配」とAIカウンセラーに相談すると、協議離婚や調停離婚の進め方のほか、子どもの親権を決定する裁判所の判断基準や専門家の相談先などを教えてくれた。

創業80年を超える日本加除出版は実務者向けの法律書を出版してきた。その知見を一般向けに活用したいと考えたという。システム開発は企業向けクラウドサービスの新興企業、ヘキサベース(東京・千代田)が手掛けた。

24年中に利用者数500人を目指し、市民相談サービスを担う行政機関などとの協業を視野にビジネスのニーズを探る。

日本加除出版の増田淳子氏は「夫婦関係の悩みは他人に打ち明けにくいが、AIなら気兼ねなく相談できる。気持ちの整理や適切な情報の把握は次のステップへの助けになる。パートナーとのトラブルや離婚に関する悩みを気軽に相談してほしい」と話す。

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