竹中工務店は24日、ビルの建設計画時に役立つ気候変動の予測データを開発したと発表した。国内800カ所以上で2090年までの温度や湿度、雨量の予測データをまとめ、月内から建築や不動産開発の営業現場に順次導入する。気候変動で高まる建物の要求水準を分析し、建設から数十年後にも建物の脱炭素や防災の性能を保てるようにする。

九州大学や英エクセター大学、ウェザーニューズと共同でデータを開発。東京や大阪など7都市のデータを公開した。平時の気温や湿度、雨量、風速をまとめたほか、豪雨や豪雪などの異常気象の激甚化を想定したリスクの情報も算出した。全国にある地域気象観測システム(アメダス)の観測点を網羅する。

これまでは最新の温度や湿度のデータを基に建物に合う空調機器を選定していた。将来気温が高くなると省エネ性能や快適性が不十分となる恐れがあった。予測データを使って空調機器を増設するスペースを確保したり、十分に暑さをしのげる外装を計画したりする。

脱炭素対応を追い風に、大手企業などで建物の建設時や運用時に排出する二酸化炭素(CO2)を削減する意識が高まっている。大都市を中心に大型再開発が進む一方、建て替えは環境負荷が大きい。建物を長持ちさせたい需要を取り込む。

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