レゾナックHDは大分市内のコンビナート事業の分社化を25年1月に予定する

レゾナック・ホールディングス(HD)は23日、石油化学事業のスピンオフ(分離・独立)に向けた分割準備会社を8月1日に設立すると発表した。2月に方針を発表した基礎化学品のエチレンや派生製品などを生産する大分市内のコンビナート事業の分離に向けた準備を進める。分社化は2025年1月の予定で、2〜3年後の上場を目指す。

新会社名は「クラサスケミカル」で、社長にはレゾナックの福田浩嗣業務執行役が就く。今後は新会社の株式の2割弱をレゾナックHDが保有する想定だ。

23年度の税制改正で始まった「パーシャル・スピンオフ」という事業再編の仕組みを使い、実質非課税で分離する。福田業務執行役は「石油化学の専業で分社化し上場するという試みは知る限り初めてだ。安定供給で社会に貢献する使命感で取り組む」と話した。

中国の増産などで市況が悪化した影響で国内のエチレン設備の稼働は低迷し、化学業界では他社連携の動きが活発化している。三井化学と出光興産は千葉県にある生産拠点を集約し出光の設備を27年度をめどに止める予定のほか、旭化成など3社は大阪府と岡山県にある設備で生産体制の最適化も踏まえた検討を進めている。

レゾナックは他社との連携については現時点では考えていないとするが、「スピンオフよりも大きなメリットをもたらす提案があれば検討することは否定しない」(レゾナックHDの真岡朋光取締役常務執行役員)とした。

大分の生産設備の稼働率は国内平均より高く、過去10年は黒字を維持している。23年12月期の石化事業の売上高は3163億円、営業利益は87億円だった。現在、新会社の成長戦略を策定中で、エチレン生産設備の競争力強化に加え、派生する誘導品の高付加価値化や同業他社・顧客との協業なども視野に入れる。

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