大阪市の港区と住之江区の海に架かる全長980メートルの港大橋が、15日で開通から50年を迎える。阪神高速道路の初の長大橋で、赤色で瀟洒(しょうしゃ)な姿は大阪港のシンボル的な存在だ。橋脚間の距離(中央径間)は510メートルと国内最長、世界でも3番目に長い。建設や耐震化の技術がその後の国内の長大橋に与えた影響は大きい。
港大橋は16号大阪港線、4号湾岸線、5号湾岸線が使い、交通量は1日約10万台に上る。大阪港で最も船舶航行量の多い航路をまたいでおり、大きな船舶が通れるように桁下空間は高さ51メートル。橋にかかる力を両端から支えてつる「ゲルバートラス橋」としては世界最大級だ。塔から斜めに張ったケーブルで支える斜張橋も検討したが、軟弱地盤の沈下の影響を避け、短い工期で完成させるためトラス橋にしたという。
着工は1970年7月15日。当時の最先端技術を駆使し、4年で完成させた。橋梁に極めて丈夫な超高張力鋼を採用し、軟弱地盤対策として大型旅客機3台分を積み重ねた大きな基礎にした。中央径間の橋桁は広島県内で組み立て海上輸送したものを、3時間半かけてつり上げて架設した。
1995年の阪神大震災を受け、免震や制震の考え方を取り入れた対策工事を実施した。地震時に道路部分がスライドし、橋の骨格部材に損傷が生じない仕組みなどを導入した。2016年には近接点検が可能になる橋梁点検台車を導入した。港大橋で取り入れたさまざまな技術は、本州四国高速道路など他の事業者の長大橋にも生かされている。
15日には普段入ることができない橋の上にあがる定員約40人のツアーを実施する。6月半ばまでの申込期間に多くの応募があり、倍率100倍の狭き門となった。
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