北海道千歳市の路線バスを運行する千歳相互観光バスで、対立を深めていた労使が和解し、1年半にわたる労使紛争が決着した。労組側が求めた路線バス部門の譲渡は棚上げとし、事業継続を前提に「乗客への利便性向上を目指し協力し合う」ことで合意した。

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 札幌地域労組千歳相互バス支部の江崎毅支部長らが12日会見し、労使で8項目の和解協定書を結んだことを明らかにした。会社側は、団体交渉での不誠実と受け取られるような不当労働行為について「今後はこのような対応を取らないよう誓約する」とし、経営状況がわかる資料を示すことを検討する。賃金・労働条件の待遇改善や、不法行為の再発防止に努めることも労使で合意した。運行サービスについては「乗客への利便性向上及び安全運行の確保を目指し、ともに提案型で協力し合う」とした。

 さらに、労組側が求めていた最終便の運行時間を今より1時間程度遅らせて乗客の利便性を高めることについても、検討することを確認した。

 江崎支部長は「ここが終わりではなく始まり。地域の足を守るため、サービス向上策を求めていきたい」と話した。会社側は朝日新聞の取材に対し「路線バス事業は当面続ける」とし、最終便の時間変更についても「ほかの便への影響もみながら慎重に検討する」と説明した。

 市企画部によると、最終便の時間を早めるダイヤ改定が2度あり、そのたびに会社側へ元の時間に戻すよう働きかけたが、人手不足などを理由に実現されなかったという。市は今も「利便性の向上につながるので、実現を期待している」としている。

 労働争議は2022年末に始まり、昨春には賃上げなどをめぐる交渉が決裂して24時間のストライキが実施された。その後も車両点検の不正などが明らかになるなど経営の混迷が続き、労組側が社長の退陣や路線バスの事業譲渡を求めるなど対立を深めていた。(丸石伸一)

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