フランスで建設中の国際熱核融合実験炉(ITER)

文部科学省の有識者会議は10日、国際熱核融合実験炉(ITER)の工程の遅れを受けて、日本の研究開発への影響などについて議論を始めた。運転主体であるITER機構から説明を受けた。次のITER理事会が11月に開催されるのを視野に、2024年夏から秋にかけて新たな計画の妥当性や日本への影響や対応策などを検討する。

ITER計画を巡っては、ITER機構が3日に工程の見直しを表明した。10日の文科省の有識者会議にはITER機構の鎌田裕副機構長が出席し、状況を説明した。実験開始が当初予定の25年から33年へ遅れるなど、複数の目標が先送りになった。一方、実験開始後に計画していた組み立て作業などを前倒しで進めることで、最初の「核融合運転」の実現時期を従来目標と同じ35年としながら、5カ月早める方針を示した。

ITER計画には日本のほか米国、中国、ロシアなど世界の7極が参加している。新しい工程は現在、ITER機構からの提案段階にとどまる。今後各国が対応策などを審議する見込みだ。文科省は提案の妥当性のほか核融合発電でITERよりも実用に近い「原型炉」の実現に向けた国内の研究開発への影響も議論し、工程表の見直しも検討する。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。