国内最大級のスタートアップイベント「IVS(アイブイエス)」が4日から6日まで京都市内で開催される

国内最大級のスタートアップイベント「IVS(アイブイエス)」が4日、京都市で開幕した。起業家やベンチャーキャピタル(VC)の投資家には女性が少なく多様性に乏しいと指摘されてきた。今回はセッションの登壇者が3人以上の場合に原則として女性が1人以上入るよう求め、女性が参加しやすくする工夫を凝らしたのも特徴だ。

「スタートアップにはまだまだ壁がある」。IVSを主催する一人、ヘッドラインジャパンの島川敏明代表はオープニングセレモニーで強調した。

今回のテーマは「Cross the Boundaries(壁を超えろ)」。島川代表が念頭に置くのは、大企業とスタートアップとの壁、海外と国内のスタートアップの壁などに加えて、投資家や起業家の間に生じる男女の壁だ。

SNS(交流サイト)活用支援サービスを手がけるATTRACTIC(アトラクティック、京都市)の森麻里代表は「女性の起業家はまだまだ少ない」と話す。従来のスタートアップイベントでは起業家もVCの投資家も男性ばかりが登壇することも多く「パネル」ではなく「マネル(MANel)」だとの批判もあった。

メイン会場には「EmpowerHER LOUNGE(エンパワー・ハー・ラウンジ)」と名付けたスペースを初めて設け、女性も数多く登壇するトークセッションも開かれている。また、託児サービスのジョサンシーズ(東京・中央)と連携し、会場内と会場外のホテルに託児所を用意した。

京都府商工労働観光部の中原氏は女性起業家を後押しする必要性を強調した

「IVSで最後の一押しをしないといけないという意識がある」。IVSの実行委員会に参画している京都府商工労働観光部の中原真里・課長補佐兼係長はこう話す。

今回のIVSには国内外から2023年比で5割多い1万5000人の参加を見込む。そのうち女性の参加者は過去最多となる5000人程度と、3割以上の参加を想定している。

IVS以外にも男女の壁を超えようとする取り組みは広がりつつある。

VCのインキュベイトファンドが開催する起業家の養成合宿「インキュベイトキャンプ」は、審査を経て選出された起業家が投資家とペアを組み、泊まり込みで事業のアイデアを練り上げる。最終日のプレゼンでは審査員によって順位付けされ、スタートアップにとって「登竜門」の一つとされている。

インキュベイトキャンプは毎年秋ごろに開催されており、今年は運営を担う「主将」を女性が務める。参加する起業家のうち最低でも25%にあたる4人以上の女性起業家を選出したい考えだ。

大手VCのANRI(アンリ)は19年に設立したファンドからの投資先のうち、20%以上を女性が代表を務める企業に投資する方針を掲げた。

こうした動きが風向きを変え、男性ばかりの「スタートアップムラ」から脱却できるか。関係者の意識変革が問われている。

(仲井成志)

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