新紙幣が発行された3日、東京都内の金融機関では実物を入手しようとする人が窓口や両替機に並んだ。記者も街で新しいお札を探し、実際に使えるのかどうか試した。(山田晃史)

◆日銀本店では札束の塊が次から次へと

両替用の新しい紙幣を数えるみずほ銀行の従業員=3日、東京都中央区で

 この日午前8時すぎ、東京都中央区の日銀本店では、一束40億円分の新1万円札、20億円分の新5000円札、4億円分の新1000円札などが続々と現金輸送車に運び込まれた。新紙幣の行く先は各地の民間金融機関。大手メガバンクなど多くの銀行の両替は4日以降と公表されているが、都内ではどこで手に入るのか。

◆渋沢栄一がルーツの銀行ならば!

 午前11時すぎ、東京・中央区のみずほ銀行兜町支店を訪れた。兜町は新しい1万円札の顔となった渋沢栄一ゆかりの地。第一国立銀行(現みずほ銀行)の設立に関わり、その後に頭取に就任しただけに、ここではいち早く新紙幣を用意していた。

新紙幣の両替に対応するみずほ銀行兜町支店=3日、東京都中央区で

 支店のそばで新紙幣を手にする男性をみかけた。近くに住む会社社長の平行秀さん(35)は「回転して見えるホログラムが面白いですね。(旧1万円札の)福沢諭吉の方がなじみがありますけど」と話し、新旧のお札を比べて眺めていた。  支店に入ると、2階の窓口や両替機で新紙幣に両替をする人たちが。昼休みに訪れた練馬区の女性会社員(51)は「ここなら入手できると思って来ました。キャッシュレス決済が中心で現金はほとんど使わないので、記念用で保管します」と語った。

◆多額の現金に不安…そのままATMで入金

両替機で記者も新紙幣を入手=3日、東京都中央区で

 記者も3万円を両替して3種類の新紙幣を入手。ただ、普段はポイントをためるためにキャッシュレス決済を活用しているため、多額の現金を持つことに不安を感じた。すぐに支店内のATMに預けようと思い、1万円を入れてみると無事に口座に入金できた。  新紙幣がほかでも使えるのか試してみた。支店を出て東京メトロ茅場町駅まで歩く。ICカードのPASMO(パスモ)に新千円札でチャージしてみると、こちらも何事もなく残高に千円が追加された。JR東日本も全駅の券売機が新紙幣に対応しているという。

◆券売機でドキドキ…無事吸い込まれ安心

 朝早くからの取材でおなかがすいてきた。昼ご飯を食べようと茅場町駅近くの定食店やよい軒に入ってみた。だが券売機には「新紙幣はご利用いただけません」との表示が。広報担当者は「8月下旬から対応を始める。それまでは従業員に伝えてもらえれば、旧紙幣に交換してご利用できます」と話した。

都内で両替した新紙幣を手にする記者=3日、東京都千代田区で

 残念。少し歩いて牛丼店なか卯に入った。券売機には特に新紙幣についての表示はない。使えるのかどうかドキドキしつつメニューを選び、新1000円札を入れた。すると機械がシュっと吸い込み、無事に読み込まれた。新札が早くも使えることにひと安心。もっとも、旧札も変わらず使えるので、あわてて新札を探し回る必要はない。発行初日に入手した残りの1万8000円は記念に保管しておこうと思う。 

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