イオンは3日、新たなネット通販事業「グリーンビーンズ」の会員数が21万人を突破したと発表した。近隣の産地から仕入れて人工知能(AI)で温度などを管理する新鮮さを強みに、共働き世帯を取り込む。2024年度中に40万人に増やすことを目指す。
グリーンビーンズは2023年7月にネットスーパー専業大手の英オカドグループと提携して始め、イオン子会社のイオンネクスト(千葉市)が運営する。会員数の21万人のうち、東京都が6割で最も多く、千葉県が3割、神奈川県が1割と続く。
3日に都内で開いた説明会で、イオンネクストの野沢知広社長は「イオンの店舗の少ない東京都世田谷区や港区、湾岸地区で会員が多い。30〜40代の共働き世帯が占め、イオングループの実店舗ではつかめていない顧客層をとらえている」と述べた。
同日、28年2月までに埼玉県宮代町で新たな自動倉庫「久喜宮代CFC」を開業すると発表した。供給力は既存の千葉市の倉庫の2倍で、食品スーパーの100店分を運べる。26年には東京都八王子市で2カ所目の倉庫をつくり、1都3県で配達エリアを広げる。
23年7月に稼働した千葉市内の自動倉庫はオカドの先端技術を導入した。自律走行のロボットが棚から商品を集め、AIが在庫管理からトラックの配送ルートの分析まで担う。ビニール袋の梱包作業なども自動だ。
グリーンビーンズは生鮮品の新鮮さを強みとする。独自ブランド「鮮度+(プラス)」は1週間の新鮮さを保証し、顧客は不満なら返品できる。レタスなど15品目の野菜をそろえ、今夏には生鮮肉も加える。
課題は収益だ。イオンネクストの24年2月期の最終損益は106億円の赤字と、前の期の26億円の赤字から約4倍に拡大した。新倉庫やロボットの導入で設備投資はかさむ。西友など他社とのネットスーパーの競争環境は厳しい。
野沢社長は「今は先行投資の段階だ。食のネット販売は欧米や中国並みに市場は広がる。ネットだからこそ保てる鮮度など独自のサービスで黒字化できる」と話した。
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