百貨店はインバウンドを中心に高額品の販売が好調だ(東京都千代田区の大丸東京店の宝飾品売り場)

百貨店2社の業績が好調だ。高島屋は28日、2025年2月期の連結純利益が前期比20%増の380億円になりそうだと発表した。従来予想から40億円上振れし2年連続で最高益を更新する。J・フロントリテイリングも純利益予想(国際会計基準)を30億円引き上げた。円安が加速しインバウンド(訪日外国人)需要が従来想定を上回る。

高島屋は売上高にあたる営業収益が10%増の5114億円になると見込む。従来予想を144億円引き上げた。訪日客による高級ブランドのバッグや腕時計、宝飾品など高額品の需要が伸びる。免税売上高は過去最高の1250億円と、従来計画から400億円上振れする。中国や台湾、香港などからの客がけん引する。

営業利益は20%増の550億円と予想。50億円上方修正した。国内百貨店の営業利益は33%増の271億円を計画する。賃上げに伴い人件費は増えるが、業務内製化などで経費削減が進む。総額営業収益に対する販管費比率は20.1%と1ポイント改善する。

同日発表した24年3〜5月期の連結決算は、営業収益が前年同期比14%増の1201億円、純利益が50%増の128億円だった。

Jフロントは25年2月期に売上高にあたる売上収益が前期比4%増の4245億円になると見込む。従来予想から30億円上方修正した。24年3〜5月期に大丸松坂屋百貨店などの業績が好調だったことを反映した。

今期通期は本業のもうけを示す事業利益が前期比9%増の485億円を見込む。純利益は11%減の265億円の予想だが、前期に固定資産の売却益を計上した反動が主因。本業は好調だ。

同社百貨店の今期の免税売上高予想は約1050億円と従来計画から80億円上乗せした。24年3〜5月期の免税売上高は前年同期比3.3倍の306億円に急増。新型コロナウイルス禍前の19年同期と比べても1.7倍だ。大丸心斎橋店(大阪市)では免税売上高が店舗売上高の47%を占めるまで拡大し京都や札幌などでも伸びている。

富裕層向けの外商も催事で過去最高の売り上げとなるなど堅調だ。商業ビル「パルコ」のショッピングセンター(SC)事業も渋谷店(東京・渋谷)や心斎橋店(大阪市)で訪日客の売上高が増えた。

訪日客が業績をけん引する一方、国内客の消費回復は鈍い。大丸松坂屋は主要7店で、24年3〜5月期の国内客売上高が前年同期比2%増にとどまった。大丸梅田店(大阪市)や大丸東京店(東京・千代田)などではコロナ前である19年の同期間を下回る店舗もある。国内客の消費喚起が課題となる。

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