リクルートの住宅調査研究機関であるSUUMO(スーモ)リサーチセンターは、2024年の住宅トレンドのキーワードに「断熱新時代」を選んだと発表した。住宅の性能が向上するなか、断熱性能は消費者からの関心が特に高い。住宅の断熱性能が健康に影響するという研究結果もあり、さらに注目が集まりそうだ。
リクルートの住宅トレンド調査によると、注文住宅を建築する際に重視した条件(複数回答)で「断熱性・気密性に優れていること」(47.1%)は「耐震性に優れていること」(54.5%)に次ぎ、2位となった。「断熱性・気密性」の数値は2年連続で伸びた。
日本では古くから高温多湿を避けるため、風通しを重視する住宅が多かったが、今は35度を超える猛暑日が急増している。冷暖房効率をよくしようと、断熱性や気密性の高い新築住宅が増えている一方、国土交通省の推計では9割の既存住宅は断熱性能が低いという。
世界保健機関(WHO)は18年、「住宅と健康に関するガイドライン」を公表した。健康被害から居住者を守るため、冬は室温を18度以上にすることなどを勧告した。
ただ、日本での対策は発展途上だ。慶応大の伊香賀俊治名誉教授によると、冬季の在宅中平均居間室温で18度以上なのは北海道(19.8度)や新潟県(18.4度)などごくわずか。香川県は13.1度、福島県14.9度と低かった。
スーモリサーチセンターの笠松美香研究員は「断熱性能は省エネというより、消費者の関心が高い健康に寄与することで、注目されている。法改正や補助事業など、住宅の断熱を実現する手段も整ってきた」とコメントした。
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