中国の李強首相は25日、中国・大連で始まった世界経済フォーラムの「夏季ダボス会議」で演説し、中国製の電気自動車(EV)などが「国際市場への供給を豊かにしている」と訴えた。欧米はEVや太陽光発電関連の製品を中国が「過剰生産」していると批判を強めるが、これに反論したものだ。今年の経済成長率目標については「達成する自信と能力がある」と語った。
米国や欧州連合(EU)は中国の過剰生産が世界の市場をゆがめているとし、対中関税の引き上げ方針を相次ぎ打ち出した。これに対して李氏は「(中国の先進的な製品が)国内需要を満たし、国際市場への供給を豊かにし、世界のインフレ圧力を緩和し、気候変動への対応において積極的な貢献をしている」と強調した。
中国政府は2024年の経済成長率目標を23年と同じ5.0%前後としている。23年は5.2%で達成したものの、ゼロコロナ政策による都市封鎖などがあった前年からの反動増が大きかった。
李氏は、今年1~3月期の前年同期比での実質成長率が5.3%を達成したことに触れ「(4~6月期も)引き続き安定した成長が見込まれる」とした。
ただ、足元では停滞感が強まる。中国国家統計局によると、1~5月の新築住宅販売面積は前年同期より23.6%減り、5月末の在庫面積は同24.6%増えた。関連産業を含め国内総生産(GDP)の約3割を占める不動産が不況に陥り、個人消費も失速しており、先行きは予断を許さない。
今年の夏季ダボス会議は、各国の政財界や国際機関などから約1700人が参加し、27日まで開かれる。(大連=鈴木友里子)
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