「オーバーツーリズム」は観光地などに旅行者が集中することで、地元住民の暮らしに影響が出ることです。

コロナ禍から観光需要が急速に回復する中、外国人観光客が集中する一部の地域では公共交通機関の混雑や交通渋滞、写真撮影のための私有地への立ち入り、ごみのポイ捨てなどが起きています。

観光庁はことし3月、「オーバーツーリズム」の防止や抑制に向けた対策を進めるモデル地域に神奈川県の「箱根」や岐阜県の「白川郷」など全国20の地域を選定しました。

ことし5月に追加の募集をしたあと、現在、審査を行っていて、7月にも新たにモデル地域を選定し、国の支援を拡大する方針です。

モデル地域では住民を含めた地元の関係者が参加する協議の場が設置され、「オーバーツーリズム」について地域の実情に応じた対策が進められます。

対策については国から8000万円を上限に費用の3分の2が補助されます。

観光庁は持続可能な外国人観光客の受け入れにつなげるため、モデル地域の先駆的な取り組みについて今後、周知することも検討するとしています。

専門家「実証実験などで防止や抑制へどう効果出るか分析」

「オーバーツーリズム」が各地で起きていることについて、観光分野に詳しい日本総合研究所の高坂晶子主任研究員は「訪日外国人の数が増える中、これまで海外にはあまり知られていなかった地域にも行きたいというニーズが高まり、オーバーツーリズムが顕在化している。ただ、対策を取りたい場合でも、観光客に引き続き来てもらいたいため、特効薬となる対策をすぐには打ち出しにくい」と指摘しています。

そのうえで「まずは実証実験などを行ってオーバーツーリズムの防止や抑制に向けてどのような効果が出るのかをしっかりと分析して、観光客にどれだけ受け入れられているかを見極め、本格的に実施するか判断するのが有効だ。その際には観光事業者だけでなく、地域住民の意見を聞くことも重要だ」と話しています。

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