伊藤忠商事や北海道が地盤の医療機器卸の竹山(札幌市)などは20日、道内でドローンを使った医療機器輸送の実証実験を行った。室蘭市の海岸から内浦湾の上空を飛行し、対岸の森町まで片道約50キロメートルの距離を、30〜45分程度で運んだ。災害時や物流の人手不足に備えて、ドローンで輸送できる体制づくりを模索する。
運んだ医療機器は、急性期脳梗塞の発症時の対応で必要となる血栓吸引カテーテルなど。脳梗塞は発症後、医療対応に取りかかるまでの時間が短いほど、その後の症状が軽く抑えられたり、回復が良好になったりするという。
ドローンの出発点である室蘭市内の潮見公園イタンキ浜から、目的地である森町の港までを運んだ。車で移動した場合、片道2時間以上かかる距離だ。
災害時に陸路が寸断された場合の代替輸送手段としても、ドローン活用が期待される。竹山営業本部の石井和明副本部長も「緊急時などにも備え、必要な医療機器が届けられる体制を会社としても整備したい」と語った。竹山の社員もドローンを扱うのに必要な資格取得を進めている。
今回のドローン輸送は、無人地帯を目視外飛行する「レベル3」による自律航行だ。伊藤忠商事航空宇宙部の中田悠太プログラムマネージャーは「長距離を短時間で運べた。風の影響など貴重なデータも得られた」と評価した。「無人地帯の長距離飛行実証で北海道はまだ可能性がある」とも語った。
伊藤忠商事は2023年にも、茨城県で血液製剤をドローンで品質を保って運ぶ実証実験をしている。都内の病院から片道約75キロメートルの目的地まで、全自動でドローンを飛ばすことに成功した。ANAホールディングス(HD)や医薬品卸の東邦HDなどの協力も得た。
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