ヤンマーホールディングス(HD)が19日発表した2024年3月期の連結決算は、純利益が前の期比18%増の495億円となり、過去最高を更新した。トラクターなどの農機事業がブラジルなど海外で好調で、為替相場が円安水準で推移したことも業績を押し上げた。売上高は6%増の1兆814億円と過去最高だった。

25年3月期の純利益は前期比31%減の340億円、売上高は3%減の1兆500億円になる見通し。産業用エンジンや建設機械の需要が米国や欧州で減速すると見る。世界的なインフレに対応して賃上げを実施したことも利益を圧迫する。為替レートが1ドル=140円と前期実績(1ドル=145円)よりも円高になると想定することも減益要因になる。

19日に記者会見した大川雅也・取締役財務部長は今期の建機需要について「海外市場で前期のような売り上げの伸びが見込めない」と説明した。米国市場では政府のインフラ投資拡大が市場をけん引してきたが、今期は冷え込む見通し。

建機事業は北米などで苦戦する見通しだ

為替水準については「かなり保守的に見ている」(大川財務部長)とし、150円を超える現在の円安水準が続けば業績予想を修正する可能性に含みを持たせた。一方で「11月のアメリカ大統領選と日銀総裁の発言によっては、一気に円高方向に進む可能性もある」と語った。

今期の国内売り上げは前期比3%減の4063億円になる見通し。建機や発電機などのエネルギーシステム事業が堅調に推移する一方で、トラクターなどの農機事業は微減になる見通しだ。

19日の会見には4月1日付で経営戦略部長(CSO)に就任したジュリアーノ・パロディ氏も出席した。米建機大手のボブキャットなどを経て17年にヤンマーHDに入社し、ヤンマー建機の社長などを務めた。24日付でヤンマーHDの取締役に就任する予定だ。パロディ氏は「ヤンマーは事業が多様で競合他社とも差別化できる」と語った。

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