記者会見をする矢田社長(14日、東京都港区)

エイチ・アイ・エス(HIS)は14日、2024年10月期の連結最終損益が70億円の黒字(前期は26億円の赤字)になる見通しだと発表した。従来予想から10億円上方修正した。3〜4月の海外旅行予約は好調で上半期に上振れした分を通期予想に反映した。インバウンド(訪日外国人)の増加でホテル事業の採算も改善する。

売上高は前期比43%増の3600億円を見込む。従来予想から100億円引き上げた。営業利益は7.9倍の110億円の見通しで従来予想を10億円上回る。新型コロナウイルス禍前の19年10月期の営業利益(175億円)と比較すると6割の水準にとどまる。

旅行事業の営業利益は前期比12倍の99億円の見通し。上半期は国内外で海外旅行予約が想定を上回り推移したものの、歴史的な円安や世界的な物価高が響き、最繁忙期となる夏の旅行需要は低調という。当初は夏の予約者数は19年比で8割前後とみていたが、足元では6割程度で推移する。

特に収益性の高いハワイやミクロネシア方面は、宿泊費やガイド費用が高騰している。矢田素史社長は同日の決算会見で「ハワイ旅行の単価はコロナ前に比べると3割以上高くなっている」と述べた。

ホテル事業の営業利益は前期比5.7倍の33億円の計画。従来予想から8億円引き上げた。国内のホテルでは、宿泊客に占めるインバウンド比率がコロナ前の2割から5割に上昇した。客室単価を引き上げており、採算が改善する。

同日発表した23年11月〜24年4月期の連結決算は、売上高が57%増の1611億円、最終損益が38億円の黒字(前年同期は48億円の赤字)だった。国内旅行の取扱高(旧会計ベース)は246億円と18年11月〜19年4月期の8割にまで戻った。海外ホテルの平均客室単価(ADR)は19年比1.7倍に上昇した。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。