コーヒー各社は世界的な豆不足から家庭用製品を値上げする

コーヒー各社が相次いで家庭用製品の値上げに動いている。味の素AGFは9月に合計116品目で最大30%価格を引き上げ、ネスレ日本は一部の商品について内容量を増やしながら値上げする。背景には気候変動による世界的なコーヒー豆の不作がある。

味の素AGFが価格を引き上げるのは家庭用コーヒー製品の「ブレンディ」シリーズなどで、スティックタイプやインスタントコーヒー、粉や豆のレギュラーコーヒーを含む。店頭価格が15〜30%上昇すると見込む。

ネスレ日本は9月、ボトルタイプのコーヒー製品「ネスカフェ ゴールドブレンド 上質なひととき」シリーズの3品の希望小売価格を172円から237円に引き上げる。同時に内容量を720ミリリットルから900ミリリットルに増やすので、単位量あたりの値上げ率は約10%となる。ボトルコーヒーの値上げは2022年12月以来だ。

UCC上島珈琲(神戸市)の値上げは7月だ。値上げ率は2〜3割で、家庭用レギュラーコーヒー製品での対象商品数は54品目と販売製品の7割に達する。ボトルや業務用のレギュラーコーヒーの価格も順次見直す。キーコーヒーは8月、家庭用コーヒー製品を約2年ぶりに値上げする。店頭価格は20〜30%上昇する見込みで、全国に45店舗あるキーコーヒーの直営店での価格も順次引き上げる。

価格高騰の背景にあるのは世界的なコーヒー豆の不作だ。インスタントコーヒーなどに使われるロブスタ種は、最大生産国であるベトナムで高温や干ばつなどに見舞われた。国際価格指標であるロンドン先物(中心限月)は6日、1トン4400ドル近辺まで上昇し、過去最高値を更新した。19年末比で3倍ほどに急騰している。

気温の上昇や降水量の減少で、コーヒー豆の不作は今後も続くと見られる。米コーヒー研究機関のワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)は、コーヒーの栽培適地が50年までに半減する恐れがあると警鐘を鳴らす。

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