新たなコンテストを機に静岡市をスタートアップ交流の場にしたいと語る難波市長

静岡市はスタートアップと社会課題の解決に共働で取り組むためのビジネスコンテストを初めて実施する。14日から約1カ月間、市内外のスタートアップのアイデアを募る。採択した提案は市職員らと提案企業で連携し社会実装を目指す。コンテストは継続を予定し、市内での起業家らの活動促進やコミュニティ形成にもつなげる。

「スタートアップと地域の共働による新社会システム共創コンテスト(知・地域共創コンテスト)」と題し実施する。市の部局や若手職員が上げた課題の解決策を求める「行政課題提示型」と、スタートアップ側が課題解決に有効と考えるアイデアを示す「スタートアップ提案型」の2部門を設け、計15案の採択を予定する。

行政課題提示型では子育てや防災、交通、観光などの分野から20の課題を示した。スタートアップ提案型には市が構想する駿河湾や清水港を活用した海洋産業の高度化「BX(ブルートランスフォーメーション)」に関する部門も設けた。

7月16日まで提案を募集する予定。7月下旬の1次審査で、行政課題提示型は20件程度、スタートアップ提案型は10件程度まで採択候補を絞り込む。

その後、行政課題提示型では課題を示した市の担当課とスタートアップなどで「共創チーム」を立ち上げ、提案を実証事業に具体化するための計画をまとめる。共創チームに対しては実証実験の場の提供や参加モニターの募集活動に加え、専門家による助言や地元との調整など幅広い点で市が支援する。

行政課題提示型は9月下旬の2次審査で10件程度の採択を予定する。対象の提案には1件あたり約500万円を支援して実現を目指す。

スタートアップ提案型は市内の事業者などとのマッチングを通じてアイデアの具体化を目指す。2次審査で5件程度を採択する方針。対象の提案には1件あたり約100万円の賞金を出し、こちらも同様の共創チームを立ち上げて事業化に取り組む。

複雑化で多様化する社会課題を行政だけで解決するのは難しく、従来の延長線上にない斬新な発想や、自前だけではない技術やノウハウ、人脈を地域に取り込むためにコンテストを活用する。

難波喬司市長は「スタートアップと地域が共働して社会課題の解決を目指し、市が全庁一体となって下支えするコンテストは全国的に例を見ないのではないか」と意気込む。市をスタートアップが集いコミュニティーを形成する場にしたいとし、「継続的に実施する事業にしたい」と述べた。

県内の起業志望者は大都市圏で起業する例が多く、静岡県は「スタートアップ不毛の地」とされてきた。鈴木康友知事は経済振興策の柱の一つにスタートアップ誘致・育成を掲げ、浜松市長時代に進めた助成策を全県に広げたい考えを示す。

(大倉寛人)

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