関西電力などは10日、電気自動車(EV)向けにワイヤレス給電の普及を目指す協議会を立ち上げた。ワイヤレス給電は電源ケーブルなどを使わずに電力を送る技術で、関電などはすでに実証実験を進めている。協議会を通じてワイヤレス給電に必要な社会インフラの整備を進める。世界共通の規格作りにも参画する。
送配電の管理システムなどの実証試験を進める関電と、電力の送受電機器に強みを持つダイヘンの2社を中心に設立した。ホンダやマツダなどの自動車大手に加え、大成建設や大林組といったゼネコンなど計55社が参画。米国からもマサチューセッツ工科大学(MIT)発スタートアップのワイトリシティが名を連ねた。
ワイヤレス給電は地上に設置した送電コイルとEV側に内蔵した受電コイルとの間で、電源ケーブルなしに電力を送る技術だ。駐車場など停車している車に充電する「SWPT」と道路に送電コイルを敷設して走りながら充電する「DWPT」がある。協議会は両にらみで普及活動を進める。
ワイヤレス給電では欧米や中国でいち早く国際規格作りが進んでいる。日本勢は協議会を通して互換性のある給電システムを開発し、グローバルでの採用を目指す。
協議会は社会インフラ整備で、電波行政をつかさどる総務省や道路管理を担う国土交通省に対し、規制緩和や制度新設を働きかけるための窓口となる。2026年度をめどにSWPTの機器を公的に認証できる仕組みをつくり、30年までに普及させる考えだ。
「送電ロスや時間当たりの充電量は現在の急速充電器と遜色ない」(三菱総合研究所)というが、受電機器を車両に搭載する際の費用負担など、コスト面での課題がある。完成車に装備するなど自動車メーカー各社との協力が欠かせない。
関西電力の槇山実果執行役常務は「大きなチャレンジだが、日本は大学も民間企業も実証を積み重ねている。デファクト(世界標準)化を後押ししていきたい」と述べた。
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