岸田文雄首相は7日、リニア中央新幹線の東京(品川)―大阪間の全線開業について2037年実現の目標を堅持するようJR東海に求める考えを示した。首相官邸で沿線自治体の首長らに表明した。「国家プロジェクトとして1日も早い全線開業に向けた取り組みを進める」と述べた。
首相発言は静岡工区をめぐる混乱で計画が遅れるとの見方を払拭する狙いがある。「整備が適切に進むよう環境や水資源の状況やJR東海の財務状況をモニタリングし、必要な指導と技術的な支援をする」と強調した。政府はJR東海にリニアの建設費用として累計3兆円を融資している。
37年全線開業に向けた方針を6月にまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に盛り込むと明らかにした。
JR東海は3月にリニアの東京・品川―名古屋間について最短で27年としていた開業目標を断念すると表明した。静岡県の川勝平太前知事がトンネル採掘による川の水量減少などの懸念があるとして静岡工区の工事に反対し、着工のめどが立たなかったためだ。
37年に延伸開業を目指す名古屋―大阪間を巡り東京ー名古屋間の遅れが影響するとの懸念が強まっていた。全線開業の計画は当初45年の目標だったのを16年にJR東海が最大8年前倒しできると表明した経緯がある。
沿線自治体でつくるリニア建設促進期成同盟会は7日、リニアの早期の全線開業を求める要望書を首相に提出した。東京ー名古屋間で「静岡工区について早期に着工し、開業時期を示すこと」と要請した。名古屋―大阪間は「全線開業の最大8年前倒しを確実にすること」を明記した。
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